線維筋痛症資料書庫

線維筋痛症を難病指定に!

山梨県選出国会議員への嘆願

嘆願書

~私たちの痛みを知ってください~

 

線維筋痛症は重症になると末期がん並みの全身性疼痛が24時間365日続く神経難病です。私自身、重症の部類に入り、現に生活の90%が寝たきりの生活を強いられています。しかし、治療法は確立されておらず対症療法のみで、専門医が国内には数名いる程度です。もちろん山梨県には専門医はいません。

症状は疼痛のみならず、倦怠感、睡眠障害、胃腸障害、目眩、循環器・呼吸器の障害、関節可動域の低下など多岐にわたります。また、薬の副作用に苦しむケースも少なくないです。私たちのADL(Activities of Daily Living)やQOL(Quality Of Life)は重症になればなるほど低下の一途をたどります。

しかし、病気に対する認知度や理解度が低いため、一般の病院では治療を拒否され、たらい回しにされることが非常に多く、最低限の対症療法にたどり着くことさえも難しく、そこに至るまでに症状が重症になるなどの事例が報告されています。また、線維筋痛症友の会が行った医師へのアンケートではなんと61.1%にのぼる医師が「線維筋痛症患者の診察をしたくない」と答えました。そんな行き場のない医療や激しい痛みによって公式な患者会の会員約3000人のうち40人もの人が自殺に追い込まれたという報告もあります。

働き盛りの人が失職したり、若い世代の人でも寝たきりになったりするなど状況は深刻化しています。激しい痛みをわずかな時間だけでも解放してくれるための治療薬は少しずつ増えてきましたが、自費治療になる場合が多いため、経済的負担になってさらに心身を蝕んでいきます。

 

私たちが線維筋痛症の指定難病化に奔走しているのは、以上のような実態があるからです。国内でもせめぎあうような数の研究機関があったら、線維筋痛症の原因究明が可能となり、治療薬も開発されるのではないかという一縷の望みをかけているからです。

当初の調査で200万人もの患者がいるという不正確な情報が流布されたために、基本的人権やコロナ禍にあり生存権まで奪われた難治性慢性疾患の線維筋痛症の患者からの訴えです。現在実際に医療機関で診断を受けている患者は約2万人だと最近の調査では言われています。線維筋痛症が国会で話題に上がったことも過去にありましたが、この200万人の高い壁が、難病法に定める人口の0.1%の要件に引っかかってしまい門前払いにあう結果となってしまいました。

 

前置きが長くなりましたが、私たちは以上の点を踏まえ以下の3点を嘆願いたします。

 

1, 患者数を正しく割り出し、改めて指定難病審査を受けられるようにしていただきたい。
患者数を200万人とした住民調査の前年、2003年に全国の医療機関へ聞き取り調査で判明した線維筋痛症と診断を受けた患者の人数は約3900名。2020年に全国で診断された線維筋痛症患者は2万人前後である。これらの結果と推定患者数を照らし合わせてその数の大きさに気づかされる。これらの結果から正しい患者数の調査をしていただきたい。誤った患者数で10年近く指定難病にならなかった事、患者数を調査し直す事、これらには一定期間以上の時間がかかることから、指定難病になるために今動き出さなくてはいけない事は急務である。

事実、私は線維筋痛症と診断されて20年近く経ちますが、同じ病気の方に東京の病院に入院していた時に一度しか会っておりません。山梨では受診している病院にも私と同じ病気の患者様はいらっしゃいません。Facebookグループの「線維筋痛症啓発委員会」の運営部として志の同じ方々と活動していますが、実際に会ったことは一度もなく、先日初めてzoomでミーティングしたくらいです。これは私に限った事ではなく多くの方が、同じ患者同士実際に会ったことのある人が少ないという現実で200万人も患者様がいるとは思えません。

 

2, 指定難病になれない事により、患者が受けることができなかった医療・福祉サービスの提供を自治体単位から受けられるようにしていただきたい。
1,の患者数の再調査と同時に、厚生労働省研究班の設立、新薬の研究開発、既存薬で効果のあるものの保険適応で使用できるようになる事は病気だけでなく経済的に苦しんでいる患者には明日にでも変えてほしいのが実情である。その他にADLの低下から重症化を防ぐために、線維筋痛症患者への継続したリハビリも必要である。リハビリの保険適応、訪問看護によるリハビリを可能にしていただきたい。

線維筋痛症」という病名により身体障害者として認めてもらえない差別された者が多い中、医師の再教育として勉強会の実施など、本当にその患者に合った医療・福祉サービスが受けられるようにしていただきたい。福祉サービスや、経済的な援助、例えば車いすに乗った患者が安心安全、そして安価で病院受診ができるよう、福祉車両を使った受診の付き添いサービスなどを求めます。

私事ですが、私は大学で栃木県に住んでおりましたが、山梨に戻ってきた時に自治体の福祉サービスの格差を感じました。それは介護タクシーを使用際のタクシー券に始まり、福祉車両を購入する時の自治体からの控除など多岐にわたります。山梨は、福祉サービスの充実した県とは言い難いのが現実です。私は施設に入所できているので幸せな方ですが、寝たきり生活の中、訪問看護でリハビリが受けられたらという希望や、両親が高齢なため、受診・治療はできるのか?誰がどれくらいの料金で病院に連れて行ってくれるか?などの不安が尽きません。山梨がもっと福祉に手厚くなってくれることを祈るっております。

 

3, コロナ禍にあって線維筋痛症患者が診療拒否、ワクチン接種拒否について実態の把握と改善のための指導をしていただきたい。
私たち線維筋痛症患者は付随する症状のひとつとして微熱があります。コロナ禍において、病院の入口での検温に引っかかってしまうと、診療を拒否されたという例が多数あります。その場で主治医に連絡しその微熱が普段からの症状だと聞いていただくか、PCR検査を受けさせていただければ診療は可能なはずです。しかし、実態ははるかにかけ離れているため患者の中には薬を何ヶ月ももらえないという人も実際にいます。また、この微熱はこれから行われるワクチン接種の際にも拒否される要因になりえます。

コロナを除いたとしても、この病気についての医師の認知度、理解度は高いとは言えず、診療を拒否されたり、詐病扱いされたりすることもいまだに絶えることがない。これは、私たち線維筋痛症患者の人としての尊厳を大いに踏みにじり、患者の生存権を奪う行為であることを認識していただきたい。

 

 

私たち線維筋痛症患者は、医療と福祉の平等を求め、ここに嘆願書を送り抜本的な改革を望みます。

 

 

2021年7月5日