線維筋痛症資料書庫

線維筋痛症を難病指定に!

線維筋痛症とは

線維筋痛症とは、全身や体の一部に強い痛みが生じる、慢性の病気です。1990年に疾病概念が成立した比較的新しい病気ですが、WHOのICD 11に登録されているれっきとした疾患です。

 

線維筋痛症の痛みそのものが命にかかわることはないものの、痛みが続くことから生活に大きな支障が出ます。


線維筋痛症の詳細な原因や発症のメカニズムは、現時点では明らかではありません。痛みを訴える部位を調べても明らかな異常がみられず、原因不明の痛みとして診断されることもあります。

 

現在、線維筋痛症の発症原因の仮説として脳や脊髄の中枢神経系の機能障害が考えられています。痛みを感じる神経が過活動になり、痛みを抑える系統の神経が弱くなるという誤作動が起こっているのです。また、線維筋痛症の発症や痛みの感じやすさには、遺伝的な要因が関与しているのではないかとの仮説 もあります。

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発症のきっかけには、心身のストレスが考えられています。なんらかの感染症や手術、外傷(けが)といった身体的なストレスから、不安や抑うつなどの精神的なストレスまで、発症のきっかけとなるストレスの原因はさまざまであることが報告されています。

2011年に発表された調査結果によると、線維筋痛症の有病率は2.1%と推計されています。日本では約200万人潜在患者がいることになってしまいますが、実際に病院で診療を受けている患者は数万人です。

 

男女比は女性のほうが多いといわれており、先の2011年発表の調査結果では、男女比1:1.6、2007年の職域集団調査2)では男女比1:4、2003年の厚生労働省研究班の全国疫学調査3)では男女比1:4.8と、いずれも女性のほうが多い結果となっています。

 

・主となる治療法は薬物療法ですが、保険範囲内で痛みを抑える鎮痛剤はほとんど無く、抗うつ剤、安定剤、と併用する場合が多くなります。加えて随伴症状の不眠のための睡眠導入剤、胃腸薬、アレルギーを抑える薬を飲まなければならず、多い人は1日に4〜50錠の錠剤を飲む人も珍しくありません。

それでも痛みは多少抑えられる程度です。

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また随伴症状として、激しい不眠、倦怠感、胃腸障害、心肺機能の低下などを必ず複数患います。

 

最重度の痛みを訴える人は鎮痛剤の点滴を毎日、癌性疼痛の座薬、オピオイドモルヒネ、筋弛緩剤を大量に投薬されて鎮痛効果を得ているようです(但し自費治療)

麻酔による神経ブロック注射を一度に何十本も打つ人もいます。しかし、このような多量の投薬が身体に与える影響はまだデータがありません。また、自由診療は首都圏に集中しており、不公平感も強くあります。

重度の痛みの激しさは
 痛みを堪えるのに歯を食いしばり奥歯が何本も割れる

 虫垂炎に気づかず医者に行った時は破裂していた
 骨にヒビが入ったぐらいでは気が付かない
 痛みのために1日何度も失神する

など想像を絶するようなものです。

・診療拒否が多い
病名の知名度は上がってきたが、誤解や偏見も膨らみ、治療を拒否され早期治療の機会を逃す(アンケート参照)ことがほとんである。

・生活が立ち行かなる
職場で通院のため欠勤が多くなりいづらくなる。また病名への誤解偏見がある。有職者のうち10人に9人

は失職している。

休職をしようと主治医に傷病手当の診断書を頼むが書いてもらえない。主治医は身体のために仕事を辞めなさいと言うが、障害年金の診断書は書けないと言われる。

・家事、身の回りのことができなくなりADLが下がるしかし麻痺しているわけでは無く、障害者手帳の取得も難しい。家で寝たきりになっていてもヘルパーを呼べず、10日異常風呂に入れなかった、痛みで失神していて3日後に見つけ出された、などの例がある。

・異常に高い自殺率
線維筋痛症友の会の記録によると、会員約3000名のうち四十人が自殺(既遂)をしている。現在でもTwitterなどを見ると毎日のようにリスカオーバードーズをする患者を見かける。

激しい全身痛、動けないこと、働けないこと、周りに理解されないことで追い詰められる人が大変多い。

他の難病なら寛解するくらいの薬があり、社会復帰することも可能な時代である(厚生労働省難病対策序文)

治療法研究、医療現場の受け入れ体制、リハビリの確立、福祉の支援、社会復帰、このサイクルが回らない限り、命を経つ人は減らないだろう。

 

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 難病法の世界ではまだ合理的配慮という概念は存在していない。線維筋痛症や他の指定外難病はRealityの世界で地面より低いところに立たされている。

指定難病になり、研究開発が進み、医療費を補助され、福祉サービスが得られ、障害者枠雇用が得られる人達は沢山の台を得られてはるか高いところで違う風景を見ている。

 

おそらく多くの自殺者は痛みで死んだのでは無い。
周囲の無理解無視に耐えられなくなったのだと思う。

 

参考

線維筋痛症の診断方法

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他に関節炎のある病気を除外する。(リウマチ、SLEなど)

一般的な画像検査や血液検査では異常が見られないが、バイオマーカーは研究中であるし、特殊なMRIでは脳の一部の血流低下や萎縮が見られる。

 

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