線維筋痛症資料書庫

線維筋痛症を難病指定に!

医療崩壊は既に始まっていた

今年はコロナ禍で、関西の方が早かったが

医療崩壊、ということが叫ばれた。

 

進まないPCR検査、入国者の検疫の杜撰さ、

中途半端な緊急事態宣言。

こんな事で大丈夫なのかとの不安は的中し、

発症者の入院病床が確保されず、自宅で亡くなる人が相次いだ。

 

国民皆保険のこの国で、致死的な病気になっても

何の手当もされず放置されたまま国民が死んでいくのだ。

 

放置死されたひと、そしてそのご家族はどんなに悔しい思いをされただろう。

 

でも、国民の多くは無関心だ。

自分だけは大丈夫という自信がなぜだかあるのだろう。もしくは自宅で人が亡くなっているという事実を見聞きしていない人も多いかもしれない。

 

医療崩壊は私たち線維筋痛症の患者の中ではすでに何年も前から始まっていました。

 

失神して救急車で運ばれても拒否される。

痛みは目に見えないからと信用できないと治療を拒否される。

全国に何人の患者がいるかも正しく把握されない。

 

調べない、知らせない、助けない

これがこの国が繰り返しできたお家芸だ。

 

平時においても、少し名前の知られていない、

ややこしい病気だと平気で切り捨てるのだ。

私達こんな事おかしいじゃないか、と訴えてきたのは

自分たちだけのためではない。

 

この日本に住んでいたら、いつ誰が医療崩壊に巻き込まれるかわかりませんよ、という警告も含めて声をあげていたのです。

 

コロナ後遺症で苦しんでいる人たちがいる。

その人達の声を聞くと、私たちの困ってきたこととまるで同じだ。

 

いつまでも体調が悪いのは気のせいだ

そんなの病気では無い

診断書など書けない

と言われているそうだ。(実際、コロナ後遺症の症状は線維筋痛症CFSと共通点が多い)

 

WHOがコロナ後遺症の研究に巨額の予算を投入したことなど、日本には関係ないのだろうか。

 

そして、コロナ禍で、線維筋痛症の診療拒否もますます増えている。通院時に体温検査でひっかかり、随伴症状の微熱で何年も続いている、と説明しても病院の玄関口で追い返されるのだ。

PCRはもちろんさせてもらえない。

主治医に問い合わせる余裕も無いのか。

 

医療従事者だけを責めても始まらない、政治は行政は何をしていたのだろう。

 

その患者は半年近く診療できず、わずかながら動かせていた背骨の可動域がゼロになった。

 

今回コロナが終息したら、すぐ忘れ去られるかもしれない。しかし日本はいつ医療崩壊してもおかしく無い状況がこれからも続く。コロナよりもっと大きなパンデミックや災害が起こらないと誰が言えようか。そうなった時初めて気づいても遅いのだ。

 

 

 

多くの随伴症状にも苦しむ線維筋痛症という病気

 

線維筋痛症には沢山の随伴症状があります。
微熱、胃腸障害、怠さ、冷え、不眠、心肺機能、血圧の問題、視力聴力の問題などなど

でもこれも自律神経失調症とか、女性ならみんなあるあることにされがちです。でもそうではありません。

 

酷い痛みにに加えての随伴症状は、生活が立ち行かなくなり、命の危険まで感じるほどの酷さなんです。

私の場合冷えは
・電気毛布をしまうのは6,7月だけ
不眠
睡眠導入剤を飲んでも3日3晩一睡もできない。
 翌日4時間くらい寝たけど、また3日3晩眠れない、
 を繰り返す
心肺機能
・何十年に渡り頻脈(安静時でも90〜100)
・痛みでさらに脈拍が上がり、不整脈も激しくなる
・肺活量が極端に低い
(痛みが特に上半身体幹がきついので)

微熱
 ・家事をしたり風呂に入っただけで熱が出る

 ・37.5度程度の熱が何年も続く

ブレインフォグ
・ある一定期間の記憶が飛んでる

・何度も同じことを聞き返す事も多いです。

私の場合随伴症状はまだ少ない方です。

随伴症状をまとめた図です(痛みは除く)

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ここに書かれているものが全て当てはまるという人も珍しくありません。

 

時々、線維筋痛症がどれだけ痛いか説明しても

「痛みは誰にでもあるから」となかなか慢性疼痛と区別してもらえないことがあります。

 

しかし、腰痛がひどいからと言って、

何十年間も睡眠導入剤を飲み続けるほどの不眠になるでしょうか。

 

毎日毎日熱が出ることがあるでしょうか?

 

まだ二十代三十代の人が高血圧で薬を飲むほどになるでしょうか。光が眩しくて日中部屋のカーテンを締切り、それでもまだサングラスをして過ごすひともいます。慢性疼痛でこんなこと起こりますか?

 

最近の研究では、線維筋痛症は中枢神経の炎症によって起こる免疫の病気だという研究が進んでいます。痛みも随伴症状も、中枢神経感作で神経が過敏になっていると考えれば、切り離すことはできないものとわかります。

 

線維筋痛症知名度は上がっています。

しかし、

ああ、あの痛い病気か、

 

という理解だけでは病気の本質から外れるし、

私たち患者も痛みだけでは無い様々な随伴症状をもっと発信することで、理解が深まるのでは無いかと考えています。

 

線維筋痛症とは

線維筋痛症とは、全身や体の一部に強い痛みが生じる、慢性の病気です。1990年に疾病概念が成立した比較的新しい病気ですが、WHOのICD 11に登録されているれっきとした疾患です。

 

線維筋痛症の痛みそのものが命にかかわることはないものの、痛みが続くことから生活に大きな支障が出ます。


線維筋痛症の詳細な原因や発症のメカニズムは、現時点では明らかではありません。痛みを訴える部位を調べても明らかな異常がみられず、原因不明の痛みとして診断されることもあります。

 

現在、線維筋痛症の発症原因の仮説として脳や脊髄の中枢神経系の機能障害が考えられています。痛みを感じる神経が過活動になり、痛みを抑える系統の神経が弱くなるという誤作動が起こっているのです。また、線維筋痛症の発症や痛みの感じやすさには、遺伝的な要因が関与しているのではないかとの仮説 もあります。

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発症のきっかけには、心身のストレスが考えられています。なんらかの感染症や手術、外傷(けが)といった身体的なストレスから、不安や抑うつなどの精神的なストレスまで、発症のきっかけとなるストレスの原因はさまざまであることが報告されています。

2011年に発表された調査結果によると、線維筋痛症の有病率は2.1%と推計されています。日本では約200万人潜在患者がいることになってしまいますが、実際に病院で診療を受けている患者は数万人です。

 

男女比は女性のほうが多いといわれており、先の2011年発表の調査結果では、男女比1:1.6、2007年の職域集団調査2)では男女比1:4、2003年の厚生労働省研究班の全国疫学調査3)では男女比1:4.8と、いずれも女性のほうが多い結果となっています。

 

・主となる治療法は薬物療法ですが、保険範囲内で痛みを抑える鎮痛剤はほとんど無く、抗うつ剤、安定剤、と併用する場合が多くなります。加えて随伴症状の不眠のための睡眠導入剤、胃腸薬、アレルギーを抑える薬を飲まなければならず、多い人は1日に4〜50錠の錠剤を飲む人も珍しくありません。

それでも痛みは多少抑えられる程度です。

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また随伴症状として、激しい不眠、倦怠感、胃腸障害、心肺機能の低下などを必ず複数患います。

 

最重度の痛みを訴える人は鎮痛剤の点滴を毎日、癌性疼痛の座薬、オピオイドモルヒネ、筋弛緩剤を大量に投薬されて鎮痛効果を得ているようです(但し自費治療)

麻酔による神経ブロック注射を一度に何十本も打つ人もいます。しかし、このような多量の投薬が身体に与える影響はまだデータがありません。また、自由診療は首都圏に集中しており、不公平感も強くあります。

重度の痛みの激しさは
 痛みを堪えるのに歯を食いしばり奥歯が何本も割れる

 虫垂炎に気づかず医者に行った時は破裂していた
 骨にヒビが入ったぐらいでは気が付かない
 痛みのために1日何度も失神する

など想像を絶するようなものです。

・診療拒否が多い
病名の知名度は上がってきたが、誤解や偏見も膨らみ、治療を拒否され早期治療の機会を逃す(アンケート参照)ことがほとんである。

・生活が立ち行かなる
職場で通院のため欠勤が多くなりいづらくなる。また病名への誤解偏見がある。有職者のうち10人に9人

は失職している。

休職をしようと主治医に傷病手当の診断書を頼むが書いてもらえない。主治医は身体のために仕事を辞めなさいと言うが、障害年金の診断書は書けないと言われる。

・家事、身の回りのことができなくなりADLが下がるしかし麻痺しているわけでは無く、障害者手帳の取得も難しい。家で寝たきりになっていてもヘルパーを呼べず、10日異常風呂に入れなかった、痛みで失神していて3日後に見つけ出された、などの例がある。

・異常に高い自殺率
線維筋痛症友の会の記録によると、会員約3000名のうち四十人が自殺(既遂)をしている。現在でもTwitterなどを見ると毎日のようにリスカオーバードーズをする患者を見かける。

激しい全身痛、動けないこと、働けないこと、周りに理解されないことで追い詰められる人が大変多い。

他の難病なら寛解するくらいの薬があり、社会復帰することも可能な時代である(厚生労働省難病対策序文)

治療法研究、医療現場の受け入れ体制、リハビリの確立、福祉の支援、社会復帰、このサイクルが回らない限り、命を経つ人は減らないだろう。

 

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 難病法の世界ではまだ合理的配慮という概念は存在していない。線維筋痛症や他の指定外難病はRealityの世界で地面より低いところに立たされている。

指定難病になり、研究開発が進み、医療費を補助され、福祉サービスが得られ、障害者枠雇用が得られる人達は沢山の台を得られてはるか高いところで違う風景を見ている。

 

おそらく多くの自殺者は痛みで死んだのでは無い。
周囲の無理解無視に耐えられなくなったのだと思う。

 

参考

線維筋痛症の診断方法

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他に関節炎のある病気を除外する。(リウマチ、SLEなど)

一般的な画像検査や血液検査では異常が見られないが、バイオマーカーは研究中であるし、特殊なMRIでは脳の一部の血流低下や萎縮が見られる。

 

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線維筋痛症患者が直面する医療拒否の問題

 
線維筋痛症患者が直面する医療拒否の問題 」
に関するアンケート調査結果  2021年2月実施
 
(Facebook患者グループでのアンケート:対象129名中、診療拒否経験有りの回答23名, 延べ件数33件)
 
線維筋痛症は医療界でも一般社会でも認知度が低く、患者医療従事者双方が啓発活動を行なっている。2000年代以降、医学部のテキストにも線維筋痛症という疾患名が載せられ、保険適応にもなった。
 
しかし、臨床現場では痛みに苦しむ患者を門前払いしたり、たらい回しにする風潮が止まっていない。アンケートの回答から見ると2000年頃〜2009年より2010年以降の方が診療拒否の件数が明らかに増えている。  
 
また、身体の痛みを訴える患者に対し「嘘」「仮病」「頭が普通では無い」などと暴言を吐き患者の尊厳を傷つける、医師としての倫理観を疑ってしまうような案件も多く見受けられる。
 
アンケートの質問
質問 線維筋痛症で診療拒否をされたことがある方にお尋ねします。
 
①何科で(例、膠原病科、整形外科、ペインクリニック、リハビリ科、歯科、など)
②どんなことを言われましたか
(気のせいだ。線維筋痛症などという病気は存在しない。死なないから大丈夫、、、など)
③西暦何年ごろのことでしょうか
④症状の一つに微熱があります(ガイドラインに書いてある)が、コロナ発生以降それを理由に診療拒否されたことがありますか。
 
 
アンケート集計結果
 
 *診療拒否の発生の年代
  2000年頃〜2009年   3件
  2010〜2021年     30件
                                            (延べ件数)
 
1.     診療拒否をされた科とその件数(延べ件数)
  整形外科        11
    膠原病科・リウマチ科  7
    精神科・心療内科    3
    神経内科        1
    ペインクリニック    2
    学会関係の医院     3
    整骨院         1
    内科          1
    痛みセンター      2
 産婦人科        1
    歯科          1
 
2. 診療拒否の理由として患者が言われたことなど
 整形外科
 ・気のせい、検査で何も出ないから詐病だろう
  ・若いのだから運動しなさい(運動して症状悪化)
  ・太り過ぎのせいだから運動しなさい
 ・こんなに痛がるのは頭のせい、私は頭は診ない
 ・クラークを通じて予約を取るも、担当の医師は「私は線維筋痛症は診ない」と断る
 ・居住する市内全ての整形外科が電話で診療を拒否
 ・線維筋痛症に効果のある薬や治療法を自力で 調べて医師に提案するが、受け入れても
  らえない
 ・線維筋痛症と言われたことのある患者はうちでは受け付けない
 ・詳しい検査も無しに全部老化のせいにされた
 
 膠原病
 ・線維筋痛症の可能性はあるが、説明がつかないから精神科に行け
 ・複数の膠原病科内でたらい回しにされ、ようやく主治医を見つけた
 ・気の毒だからと診断名を隠された
  ・大学病院で診断はされたが診療を断られ他病院の紹介もしてもらわれず、他疾患の医
  師のツテで転院した
 
 
 
神経内科
 ・線維筋痛症慢性疲労症候群などの症状は皆あなたの演技だ
 
内科
 ・効果を感じていた点滴を惰性になるからと打ち切られた
 
 ペインクリニック
 ・痛いと思うから痛いんだ
 ・動きなさい、動かないと足が腐る
 
 精神科、心療内科
 ・副作用がキツい薬を断り、鎮痛剤の新薬の治験も断ったら診療終了にされた
 ・私は線維筋痛症は診ないと断られた
 
 整骨院
 ・保険内診療を断られた
 
 痛みセンター(集学的に慢性疼痛を治療するとする厚生労働省のプロジェクト)
 ・線維筋痛症は専門外と言われ、リハビリのみ受けている
 ・窓口で暗に診療を拒否された。
 
救急外来
 ・夜間救急外来で、線維筋痛症患者は救急車を呼んではいけないと何も処置してくれず。
  実際は重度の脱水状態だった
 ・痛みで意識消失するような状態で救急車を呼んだが何軒も拒否されたらい回しに合う。
  線維筋痛症という病名を告げると拒否されているようだ。
 
3  コロナ蔓延期の問題
 ・線維筋痛症の随伴症状に慢性の微熱があるが、その為に出勤拒否や診療拒否が起きてい
  る
 ・持病として線維筋痛症があるのに、電話診療ではなくて、通院を強要される。
 
線維筋痛症患者が他の疾病の治療も拒否される
 ・注射後の痛みを訴えたが線維筋痛症のせいにされた。実際には神経腫の痛みだった
 ・婦人科で子宮内膜症の診療を断られた
 ・歯の被せものが取れたので歯科に行ったが、線維筋痛症を理由に治療を開始してもらえ
ず数ヶ月間も放置されている
 
 
 
 
*考察
 
①    対象者中、診療拒否経験有りと回答した人の割合は約18%、延べ件数では20%以上
となり約5人に1人の患者が診療拒否を受けたことになる。
 
全ての疾患に関する診療拒否の発生件数や割合はデータがないが、18%〜20%以上はかなり高いとの印象を抱く。そして、診療拒否の理由は慢性的でかなり高度な身体的苦痛を持つ患者に取っては許容し難いものが多い。又、度重なる診療拒否は病気の早期発見早期治療の道を閉ざす。
 
② 3のコロナ期の問題は線維筋痛症が「痛み」の病気だということは周知されていても、数多くの随伴症状があることが知られていないことを示唆している。平熱が常に37℃台という線維筋痛症患者は多い。
 
③ 4の問題は線維筋痛症という病気が知られるようになった結果起こってきた事例だと思われる。「線維筋痛症患者は何でも大袈裟に痛がる。」という偏見が蔓延しているのだろう。
実際は線維筋痛症の痛みが酷すぎて、当事者は他の痛みや痛みのある疾病に気付きにくいのことの方が多い。
 
腸炎に気がつかず切った時には盲腸はボロボロだった
親知らずを抜いたら根しか残っていなかった。
痛みで歯を食いしばり奥歯が割れても気がつかない
骨折しているのに気がつかなかった
 
などの例がある。
 
*まとめ
 
コロナ禍や大災害の時期を除けば、体の不調や苦痛を訴える患者を門前払いすることは社会的な倫理に反するであろう。たとえ希少な難病で自分は診られなくても、他科受診などの提案をするなどしてもらいたい。患者は激痛による極限状態で病院の戸を叩く。その状況で断られる、しかも頭のせいにされるなど、どれほどの苦痛か理解していただきたい。
 
線維筋痛症という珍しい病気も先人達の努力でなんとか知名度は上がってきたようだ。*1 しかし、同時に偏見や誤解も膨らんでいる。線維筋痛症ゆえに他の疾患の発見や治療が遅れることがあってはならない。
 
(1)膠原病科医師だけでは無く、他科の医師への周知を高めたていただきたい。特に痛みを持つ人がまず頼りにする整形外科への周知や、整形外科から膠原病科への連携は必要性が高いと感じられる。
 
(2)医療教育現場で、もっと深く線維筋痛症を教えることが必要だと思われる。そして専門医の育成が必要である
 
(3)痛みセンターのような集学的疼痛治療は線維筋痛症の治療に最も必要だと思われるし、センターが県に最低1つ設置され、線維筋痛症患者を積極的に受け入れていただきたい。
 
私たち患者は医療従事者を糾弾しているのではありません。コロナ以前から国の予算の削減、人員の削減、国立医大病院の法人化などで医療現場が逼迫している状況もよく知っています。しかし、患者が現状の問題を発信して、医療従事者とのコミュニケーションをうまく図ることができれば、現場の負担はかえって減ると思うのです。
 
受診拒否やたらい回しは重症者を増やし、医療費の増大や現場の混乱を招くだけです。
 
*1
リウマチ医の間での認知度は研究班発足の2003年から2016年の間に約30%から90%以上に上がった。( 村上正人「線維筋痛症の診断と治療」2016 )気の毒だからと診断名を隠された
  ・大学病院で診断はされたが診療を断られ他病院の紹介もしてもらわれず、他疾患の医
  師のツテで転院した
 
 
 
神経内科
 ・線維筋痛症慢性疲労症候群などの症状は皆あなたの演技だ
 
内科
 ・効果を感じていた点滴を惰性になるからと打ち切られた
 
 ペインクリニック
 ・痛いと思うから痛いんだ
 ・動きなさい、動かないと足が腐る
 
 精神科、心療内科
 ・副作用がキツい薬を断り、鎮痛剤の新薬の治験も断ったら診療終了にされた
 ・私は線維筋痛症は診ないと断られた
 
 整骨院
 ・保険内診療を断られた
 
 痛みセンター(集学的に慢性疼痛を治療するとする厚生労働省のプロジェクト)
 ・線維筋痛症は専門外と言われ、リハビリのみ受けている
 ・窓口で暗に診療を拒否された。
 
救急外来
 ・夜間救急外来で、線維筋痛症患者は救急車を呼んではいけないと何も処置してくれず。
  実際は重度の脱水状態だった
 ・痛みで意識消失するような状態で救急車を呼んだが何軒も拒否されたらい回しに合う。
  線維筋痛症という病名を告げると拒否されているようだ。
 
3  コロナ蔓延期の問題
 ・線維筋痛症の随伴症状に慢性の微熱があるが、その為に出勤拒否や診療拒否が起きてい
  る
 ・持病として線維筋痛症があるのに、電話診療ではなくて、通院を強要される。
 
線維筋痛症患者が他の疾病の治療も拒否される
 ・注射後の痛みを訴えたが線維筋痛症のせいにされた。実際には神経腫の痛みだった
 ・婦人科で子宮内膜症の診療を断られた
 ・歯の被せものが取れたので歯科に行ったが、線維筋痛症を理由に治療を開始してもらえ
ず数ヶ月間も放置されている
 
 
 
 
*考察
 
①    対象者中、診療拒否経験有りと回答した人の割合は約18%、延べ件数では20%以上
となり約5人に1人の患者が診療拒否を受けたことになる。
 
全ての疾患に関する診療拒否の発生件数や割合はデータがないが、18%〜20%以上はかなり高いとの印象を抱く。そして、診療拒否の理由は慢性的でかなり高度な身体的苦痛を持つ患者に取っては許容し難いものが多い。又、度重なる診療拒否は病気の早期発見早期治療の道を閉ざす。
 
② 3のコロナ期の問題は線維筋痛症が「痛み」の病気だということは周知されていても、数多くの随伴症状があることが知られていないことを示唆している。平熱が常に37℃台という線維筋痛症患者は多い。
 
③ 4の問題は線維筋痛症という病気が知られるようになった結果起こってきた事例だと思われる。「線維筋痛症患者は何でも大袈裟に痛がる。」という偏見が蔓延しているのだろう。
実際は線維筋痛症の痛みが酷すぎて、当事者は他の痛みや痛みのある疾病に気付きにくいのことの方が多い。
 
腸炎に気がつかず切った時には盲腸はボロボロだった
親知らずを抜いたら根しか残っていなかった。
痛みで歯を食いしばり奥歯が割れても気がつかない
骨折しているのに気がつかなかった
 
などの例がある。
 
*まとめ
 
コロナ禍や大災害の時期を除けば、体の不調や苦痛を訴える患者を門前払いすることは社会的な倫理に反するであろう。たとえ希少な難病で自分は診られなくても、他科受診などの提案をするなどしてもらいたい。患者は激痛による極限状態で病院の戸を叩く。その状況で断られる、しかも頭のせいにされるなど、どれほどの苦痛か理解していただきたい。
 
線維筋痛症という珍しい病気も先人達の努力でなんとか知名度は上がってきたようだ。*1 しかし、同時に偏見や誤解も膨らんでいる。線維筋痛症ゆえに他の疾患の発見や治療が遅れることがあってはならない。
 
(1)膠原病科医師だけでは無く、他科の医師への周知を高めたていただきたい。特に痛みを持つ人がまず頼りにする整形外科への周知や、整形外科から膠原病科への連携は必要性が高いと感じられる。
 
(2)医療教育現場で、もっと深く線維筋痛症を教えることが必要だと思われる。そして専門医の育成が必要である
 
(3)痛みセンターのような集学的疼痛治療は線維筋痛症の治療に最も必要だと思われるし、センターが県に最低1つ設置され、線維筋痛症患者を積極的に受け入れていただきたい。
 
私たち患者は医療従事者を糾弾しているのではありません。コロナ以前から国の予算の削減、人員の削減、国立医大病院の法人化などで医療現場が逼迫している状況もよく知っています。しかし、患者が現状の問題を発信して、医療従事者とのコミュニケーションをうまく図ることができれば、現場の負担はかえって減ると思うのです。
 
受診拒否やたらい回しは重症者を増やし、医療費の増大や現場の混乱を招くだけです。
 
*1
リウマチ医の間での認知度は研究班発足の2003年から2016年の間に約30%から90%以上に上がった。( 村上正人「線維筋痛症の診断と治療」2016 )

患者手記①-1

線維筋痛症について】
私共患者は、日々耐え難い激痛や苦痛と闘っておりますが、難病指定にされていない難病の為、治療法や保障制度などがなく、身体的、精神的、経済的にも限界な中生活しております。

随伴症状として、身体症状では
38℃以下の微熱、疲労感、倦怠感、手指のこわばり、手指の腫脹、関節痛、レイノー現象、寝汗、過敏性腸症候群、動悸、乾燥症状、呼吸困難、嚥下障害、間質性膀胱炎様症状、生理不順、月経困難症、体重変動、光線過敏症、寒暖不耐症、顎関節症、低血圧各種アレルギー症状、僧帽弁逸脱症、かゆみなど。

神経症状としては、
四肢のしびれ、手指のふるえ、めまい、耳鳴り、難聴、視力障害。

精神症状としては、
抑うつ症状、不安感、焦燥感、睡眠障害(過眠、不眠)、集中力低下、注意力低下、健忘、起床時の不快感。

骨格筋の激しい痛みが、線維筋痛症の主な症状ですが、その激しさを表現するのに、「体の中で火薬が爆発するような痛み」「万力で締め付けられるような痛み」「キリで刺されたような痛み」「ガラスの破片が(体の中を)流れるような痛み」などと表されます。

また疼痛症状以外に、様々な身体性の症状を伴い、特に共通の症状として睡眠障害が挙げられています。9割の患者で睡眠障害がみられると言われ、睡眠障害がストレスとなり、次に痛みを引き起こし、更に睡眠障害を引き起こすという悪循環がみられます。

全身の痛みは凄まじいもので、痛みの苦痛等が間接的に患者を死に追いやり、線維筋痛症患者における自殺念慮の有病率は32.5%と報告されている、深刻な病気です。

ですが、この病は原因が不明で、患者の痛みの理由が周囲にわかりにくいことから、しばしば怠け病や詐病と周囲に誤解されやすいところが、患者のストレスを更に増加させるものと考えられており、うつ病に対する場合と同様、周囲のこの病に対する理解が必要です。

疼痛レベルや痛みの種類は天候や気温に湿度、環境、五感による刺激、肉体的精神的ストレスで変化します。
しばしば疼痛箇所は移動しますが、痛みが途切れる事はありません。

軽度なら仕事を続けられる場合もありますが、重度の場合はガンの末期患者と同レベルの疼痛といわれ、日常生活に支障をきたし、自力での生活はほぼ困難です。
症状が重くなると髪やつめに触っただけで痛みが走り、意識がもうろうとなり寝たきりになり、通常の日常生活、呼吸や嚥下すら困難になります。

視覚、聴覚(聴覚過敏)、触覚、味覚、嗅覚の五感が著しく過敏になり、そのため僅かな音や光、軽い接触にも痛みを感じるようになります。化学物質やアルコール不耐性になり、アレルギー症状は悪化します。

多くの患者に筋力と運動能力の著しい低下、筋肉の激しい疲労、筋肉の痙攣、行動力の低下、関節の痛みと腫れ、重度では自力で補助なしには立ち上がれないし起き上がれない、以前歩けた距離が歩けなくなるなどの症状が見られます。

身体障害者手帳については、疼痛という見えない障害であるために障害の程度が証明できず、実際には利用不可能な場合が多いです。

上記に記載の内容で、私達は苦しんでいます。なのでせめて少しでも負担が減るよう、難病指定にして頂きたいです。
日々耐え難い苦痛と闘っている私達に、救いの手を差し伸べて下さい。
この声が多くの方に届く事を願っています…

(筆者 ちゃろ)

 

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患者手記①-2 ~なりたくなかった「線維筋痛症」という悲惨な病気~

~なりたくなかった「線維筋痛症」という悲惨な病気~

私は幼少期から虚弱で過敏なアレルギー体質でした。
免疫が弱く体調不良なのが当たり前で、アトピー性皮膚炎や小児喘息、中耳炎、扁桃腺による高熱は慢性化していて、ひきつけによって2回生死をさ迷い、頻繁に通院し服薬や点滴などの治療をしていました。

小学生の頃から倦怠感や痛みがありましたが、物心がついた時からそうだったので、そういう体質なんだろうなと思いこんでいました。

ところがある日を境に、私の体は激変し地獄が始まります。突然右手に強い電流が流れるような激痛がはしり、ペンすら握れなくなりました。その事がきっかけで、さすがにこれはおかしいと詳しい検査や治療をする為、通院し始めました。

 

初めに整形外科を受診し、手首の腫れもあった為、痛み止めと湿布を処方され、リウマチの検査の予約をしました。ですがその後高熱を出し、痛みは右手から徐々に範囲が拡がっていき、怖くなり検査前に受診すると、医師から膠原病かもしれない、うちでは治療できないから紹介状を書くねと言われ、転院する事に。

リウマチは知人に患者がいる為知っていましたが、膠原病?なんだそれ?とネットサーフィンをし情報収集をしました。右手から始まった突然の激痛は、わずか1週間で両腕と両足にまで拡がり、ステロイドの痛み止めは効果なく、副作用で中止になり不安でいっぱいでした。

新たにリウマチ膠原病内科を受診し、ありとあらゆる検査をするも原因はわからず、経過観察で副作用の弱いステロイド薬などを服用し続けました。病名もわからず、検査や効果のない薬による高額な医療費がかかり、一体自分の体に何が起きているのか、どうしたらよいのかわからぬまま時が過ぎていきました。

その間にも体の痛みは全身の筋肉や骨、内臓や神経、あらゆる箇所にまで拡がり、整形外科や内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、神経内科、脳神経内科、口腔外科、眼科、皮膚科、精神科、心療内科などでもあらゆる検査や投薬をする事に。次から次に起きる異変と、肝心の痛みの原因が不明なまま、不安な日々を過ごしていました。

大量の投薬により薬疹や気管支喘息が悪化した為、痛み止めの投与は慎重になり、痛み以外の多彩な症状も悪化し続け、多数の病気を発症しました。これが後に線維筋痛症の合併症だと判明します。この時点では主症状である痛みは、原因不明なまま経過観察でした。

主治医はリウマチや膠原病を得意とする医師でしたが頼りにならない!何としても原因を見つけなきゃ!と必死に情報収集を続け、ふと目に入った「線維筋痛症」という病名を調べていくうちに、症状が完全に一致していて、これだ!と思い主治医にその事を告げると、確かに他に当てはまるものは無い、他の疾患は線維筋痛症の合併症や随伴症状によるものだと判明し、そこでやっと「線維筋痛症」という病名がつきました。

家庭事情が複雑すぎたのもあり、線維筋痛症を発症したのは、おそらくそれが引き金だと知りました。
やっと病名がついたことで安心し号泣しました。
ですがその先に待ち受ける、更なる困難があるとは、この時はまだ思いもよりませんでした。病名がわかればそれを治療すれば良くなると、甘くみていました。

そうして線維筋痛症の治療や服薬を始めるも、拒絶反応や副作用に苦しみ、効果は全くありませんでした。自分に合う薬を見つけ、痛みをコントロールすることが大切な線維筋痛症という病気にとって、それは希望を失う事になります。

痛みは悪化し続け、実験台のように薬漬けにされ、高額な医療費の為に体にむちを打って働くも全く改善せず、体を酷使し悪化する。主治医もこれ以上の治療は不可能とお手上げになり、そこからドクターショッピングが始まりました。

目に見えない疾患である為周囲に理解されず、自分でもどうしようもない不安と絶望から精神が壊れていく。働けなくなり経済困難に陥るも、高額な医療費は増え続ける。

痛みとしびれや痙攣などの神経症状に加え、不安で眠れない日々が続くようになり、眠剤依存により意識は朦朧とし、何の為に生きているのか、このまま死ねたらこの苦しみから解放されるのか、などの気持ちを抱くようになり、未遂もしましたが死ねませんでした。

線維筋痛症学会の参加医療機関やあらゆる病院にカルテを開示するも、受診拒否で受け入れてもらえず、線維筋痛症を得意とする鍼灸指圧を行っている先生のもとへ駆け込みました。そこで初めて心に寄り添った治療をしてもらえました。

学会の参加医だった事もあり、通常の鍼灸指圧治療に加え、私専用の通電治療をし学会にデータを提出する流れになっていました。ですが残念ながら効果はなく、治療は中断しました。

そこで再びドクターショッピングをしていくうちに、厚生労働省のプロジェクトである痛みセンターを発見し、何とか受け入れてもらえるも、線維筋痛症は専門ではないと判明。

しかし他に受け入れ先もなく、既に疾患はこじらせてしまっている上に、使用出来る薬の制限もあり、薬物療法は気休めのみの最小限に抑え、リハビリ療法が主な治療となりました。

それから週2回のリハビリ通院で様子見となったものの、回復の兆しはなく寝たきりになるのを遅らせる方法しか残されておらず、他に何か手段はないのものかと自分なりにできる事は取り入れましたが、何も改善されぬまま新型コロナウイルスの蔓延により、リハビリ治療は中止となりました。

そして随伴症状の微熱により、やっとの思いで病院に到着しても入口の検温で引っかかり、受診不可能で薬の処方もされないという期間が半年間も続きました。

線維筋痛症は単に痛みのみの疾患と思われがちな為、随伴症状の微熱はこのコロナ禍において死活問題になります。急激な断薬には大きなリスクもあり、対処療法すら出来なければ悪化の一途を辿るのは目に見えています。

コロナワクチン接種において優先とされる基礎疾患もにも当てはまらず、線維筋痛症の随伴症状である微熱が、コロナウイルスと誤認され接種出来ない事態になることもあり得ると思います。このような状況は絶対に避けなければなりません。


治療法のない線維筋痛症患者がコロナウイルスに感染し重症化した場合、医療機関が受け入を拒否する可能性は高いと思われます。

 

一体いつまでこの地獄のような毎日を過ごせば良いのでしょうか。国が何もしてくれない間にも症状は進んでいきます。


現在のコロナ禍により医療はひっ迫と連日報道されていますが、線維筋痛症などの指定難病になっていない難病患者からしてみると、現代の医学においても治療法や効果的な治療薬はなく、最終的に日常生活すら不可能になるにも関わらず、指定難病ではない為に、何の保障やサービスも受けられない深刻な医療福祉の崩壊状態はコロナ禍以前から始まっていました。

年中無休で全身の筋肉や骨、神経や内臓にまで激痛がはしり、全身に多彩な随伴症状や多数の合併症に苦しみ、我慢するしかない日々。あなたは耐えられますか?あなたの大切な人や家族がこうなってしまったら…
当事者だからこそわかるリアルを発信し、この悲惨な現状を変える為にも、線維筋痛症を指定難病にする必要があるのです。

沢山の方にこの声が届きますように…

これ以上の犠牲者を出さない為にも、私は自分自身や仲間達、未来の為に活動し続けます。そうしなければ何も変わりません。1日も早く現状が変わるよう奮闘していきます。

 

ちゃろ