線維筋痛症資料書庫

線維筋痛症を難病指定に!

線維筋痛症は症候群ではありません、WHOの国際疾病分類による線維筋痛症の定義

世界保健機関(WHO)の国際疾病分類ICD11に記された線維筋痛症

https://www.kegg.jp/brite/jp08403+H01636

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日本ではまだ、専門医でさえ線維筋痛症は病気では無いと公言している。線維筋痛症はWHOに登録された病気、疾病である。

線維筋痛症ガイドライン2017年度版 と患者数について

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/FMS/CPGs2017_FM.pdf

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医療従事者が治療の根拠としたり、役人や官僚もこのガイドラインのデータを基に難病審査の判断を行う。

このガイドラインに国内の有病者200万人という文言がある限りその数字が患者数になってしまう。欧米並みの有病率となぜ同等でなければならないのか。

 

長野で行われたアンケート調査による線維筋痛症と判定された患者はその後治療を受けたのか?追跡検査が必要だ。

 

しかし2017度版を出版をした研究班はもう解散されたらしい。今一度正しい患者数(数万人程度)が医療現場、社会で承認されるには新しい研究班の立ち上げと全国的疫学調査の再実行が必要となる。

 

また、障害者手帳、年金、傷病手当には診断書を書かないようにと言う記載があり、驚く。これも患者の置かれた状況をリサーチし改定されるべきだ。適切な治療法もないまま病気が進行している患者が増え続け、福祉のサービスを求めている。

しかし、現場の医師が線維筋痛症という病名ゆえに診断書の作成を断り続けているのである。

 

全国的疫学調査の前には、線維筋痛症患者を診察した医師(主に膠原病科)への聞き取りで、線維筋痛症の患者数を約3000名程度としている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/18/1/18_87/_pdf/-char/en

しかし、これが欧米の有病率と合わないというのである。なぜ欧米と同じでないといけないのか。住民調査で呼び出して線維筋痛症の基準を満たしていても果たして、その後通院し加療を受けたのであろうか。たかだか慢性の肩こりや腰痛で副作用で10kg 20kgも太るような激しい副作用を持つ劇薬を長期服用するだろうか?

 

アメリカで線維筋痛症の有病者が400万人いても患者当事者個人個人には何も問題はない。

 

しかし、日本に200万人もの「推定」患者がいることは、大きな意味がある。この推定の数字は線維筋痛症が指定難病になり、研究や新薬の開発が行われたり、重症者が福祉サービスを受ける最大の障壁になっている。

日本では指定難病という制度がある限り、難病の患者数カウントが住民調査による疫学調査では不十分なのである。

疫学調査+被験者の追跡調査、実際に医療機関で治療を受けている患者数の調査が併せて行われるべきであろう。

(残念ながら長野で行われたアンケートによる住民調査の経緯はネット上から削除されていっている模様である。国勢調査に3ヶ月以上の疼痛があるか、不眠があるかというようなアンケートを挟み込み、回答のあった人を呼び出し、圧痛点テスト、痛みのある多疾患のスクリーニングを行い、残った人のパーセンテージを割り出したもの。)

 

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2020年youtubeによる発信。麻酔科医師で患者当事者のみおしん



 

https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm220/pdf/news159.pdf

線維筋痛症の原因がミクログリア細胞の過剰な活動にあるのではないかという最新の知見なども記載。しかし、患者数200万人という数字はそのまま。

 

若年性線維筋痛症

*若年性線維筋痛症の定義

https://www.nanbyou.or.jp/entry/549

(難病情報センター資料)

 

*若年性線維筋痛症の患者当事者の情報発信

Twitterアカウント

 #らむの光芒/@Regenove_Ram

 

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このページに掲載した漫画は作者のらむさんから転載、線維筋痛症の啓発に使用許可を得ています。希望の方はコメント欄にご一報ください。

線維筋痛症の基本情報と署名活動

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2020年秋から線維筋痛症を難病指定への署名が立ち上がり、2021年4月現在約33,000筆が集まっている。50,000筆で各都道府県の指定難病、100,000筆で国の指定難病になるよう厚労省に請願することを目標にしている。

 

患者の中にはSNSでの啓発運動、行政への嘆願、国会議員への嘆願、医療勉強会、コミュニティラジオで呼びかけなどさまざまな活動が生まれている。

 

 

 

線維筋痛症の抱える問題点

線維筋痛症患者が抱える特殊な問題」
指定難病に関しては国に指定を受けていない難病が多数あり、どの難病の患者も生活に困難を抱えている。その中で線維筋痛症の抱える特殊な問題点をまとめました。

*要約

①診療拒否やたらい回しで重症化する患者が多い。

そのため大量の薬を服用する事による二次的な問題が生じる。それだけ大量の薬を飲み続けても疼痛が寛解する例は稀で、若くても寝たきりになるケースもあるが、整形外科でのリハビリはほとんどが拒否されている。

 

②十分な医療が受けられない上に、疾病への理解が社会的に進まず患者はあらゆるライフステージにおいて大きな困難に立ち向かわなければならない。

 

厚生労働省ガイドラインには推定患者200万人と記されているが、実際に治療を受けている患者は数千から2万人程度という説がある。難病指定の条件に、患者数は本邦で18万人程度とあり、正確な患者数の調査が必須である。

 

④治療法が確立せず寛解が難しいのに、福祉による支援への道も閉ざされ、制度の谷間に落ちている。

 

⑤ 原因不明の謎の病気、ストレスや気の持ちようで発病するなどという偏見が止まない。しかし、研究は進んでおり免疫に問題があり脳に炎症が起きているという説が出てきている。痛みを客観的に数値化画像撮影などの技術も発達してきている。

⑥指定された難病患者は医療支援、福祉、介護、就労支援などのケアが何重にも提供されるが、指定から漏れると一切のケアが受けられない。線維筋痛症だけはなく難病全体の問題として取り組みが必要。セイフティネットという概念が欲しい。

 

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①   24時間365日続く激しい全身疼痛がある。痛み止め多剤服用や長期使用の問題
 
線維筋痛症の重症者の痛みは末期癌患者レベルである。しかし、治療法が確立しておらず診療できる専門医が全国で数名しかいないため、患者が診療拒否を受けたらい回しにされ*1対処療法にすらたどりつくのが困難だ。軽症のうちに適切な処置を受けられれば寛解するケースもあるが、多くは重症化し、若くても寝たきりになることもある。
 
また治療が始められても、既存の痛み止め(専門薬)では痛みを緩和する力が弱く、他の痛み止め、安定剤との併用になり、多剤服用に陥る。また本当に痛みを抑えるには癌性疼痛を抑える薬(劇薬、医療用麻薬ただし自費治療)などの強力な薬を長期間続けることになってしまう。随伴症状の不眠治療薬胃腸薬なども併せると1日40〜50錠以上の薬を飲むケースも珍しいことでは無い。
 
麻酔科で神経に麻酔薬を打ち麻痺させ、3時間ぐらい痛みを止める治療法もあるが、何十本もの麻酔薬を頻繁に打つことの健康への影響は調査研究がまだ行われておらず、大いに懸念される。
 
これだけ多くの薬を飲んでも使用しても重症者の痛みは緩和されていない。症状は進行していくばかりだ。
 
このような激しい痛みに長年晒され、座位や伏臥位で過ごす事が多くなると、筋力が低下しフレイルのような状態になるが、整形外科の診療拒否が大変多くて、リハビリを受けている人はごく少数である。寝たきりをなるべく減らすという国の健康政策に反する。
 ②    QOLの低下どころでは無い人生の破壊未成年の患者は教育を受ける機会を逸したり、進学の望みを絶たれるケースが多い。どうしても欠席が多く学習の進度が遅れがちになり、クラブ活動も諦める事になってしまう。また教員の線維筋痛症への周知が行われておらず、適切な指導や援助が少ないようだ。
 
働き盛りで発症すると失職し、復職への援助が得られない。線維筋痛症という名前ゆえに休職手当や傷病手当出されなかったケースがある。(医師が診断書を書かなかった)子育て家事にも支障をきたす。自分も身体が不自由なのに、介護を背負い行き詰まるなど生活が困窮してしまう。あらゆるライフステージで患者が1人でどんなに努力しても克服しようの無い壁に行く手を遮られている。
 
各県に必ず難病相談センターが設けられ、行政と患者を繋ぎ、福祉サービスや就労支援が患者に提供されるが、線維筋痛症は断られたというケースをよく耳にする。またはその存在を知らない患者が多い。
 
③   患者数の謎
 
難病指定への請願は今まで何度か行われてきた。しかし実現していない。実現への最も大きな障害は厚労省ガイドラインに書かれた「推定患者200万人」という数字である。指定難病は本邦で患者数が10万人以下という規定があるからである。しかし、この200万という数字は現在否定されつつあり、多くの臨床医が実際に診療を受けている患者数は数千〜数万と述べている。
 
この200万人の根拠となった長野県での住民調査の追跡調査をし、有病率訳2%の正当性を洗い直してもらいたい。前回(約10年前)に線維筋痛症と診断された住民はその後通院服薬確定診断を受けたのだろうか。住民調査が始まる一年前、2003年の全国のリウマチ科膠原病科への調査では、実際に治療を受けた線維筋痛症の患者数は3000人台だった。
 
200万人も患者がいれば、私たち患者が病院に行けば必ず他の患者にも会うはずだが私はまったく経験したことがない。そして医師達は多くの患者を診察し経験値をあげているはずだ。それも無いから、たらい回しが一向に減らないのである。患者数200万という数字には大いに疑問がある。もう一度研究班が立ち上げられ、正確な患者数を調査していただきたい。
 
④     医療と福祉の谷間に落ちた疾患。
 
線維筋痛症という疾病概念が成立したのが1990年代と比較的新しく、医療関係者の間で知名度が低い。名前を知らないから、治療法が分からないからと診療拒否をされるケースが後を絶たない。
 
・痛みで失神して救急車で運ばれてもどこの病院にも拒否された。
・血液検査、画像に異常が無いので仮病扱いされた。
・気のせい、心のせいにされて精神科にまわされる。
等々。
 
やっと主治医ができても余程の早期発見でなければほとんどの患者は痛みだけではなく徐々にADLの低下が進んでしまう。握力が一桁、歩くことが困難で杖をついていても車椅子になっても、身体障害者手帳を書いてもらえない。一人暮らしで身動きができなくて10日間も入浴できなくてもヘルパーも介護も自費でないと利用できない。
 
二次的な鬱病障害年金障害者手帳が下りるケースは多いが、患者のニーズには応えていない。身体障害者手帳が交付されてほしい。線維筋痛症の重症患者には電気車椅子が必要だ。現状では患者が自費で購入したり、一部の医師が診断書を書いているがごく少数である。
 
⑤    決して原因不明の奇病では無い。
 
研究段階ではかなり原因が解明されているようだ。中枢神経のシステム的障害であり、遺伝子的な傾向を持つ人が発症しやすい。通常のMRIでは無理だが、シンチグラフィーによる画像では線維筋痛症患者の脳の特定の部位に血行不良、萎縮が見られる。
 
既存の画像検査や血液検査に異常が見られないだけであり、マーカーは存在するが見つかっていないだけで決して気のせいや仮病では無いのだが、専門外の臨床医の中には最新の知見にまだ接した事がない者も多く、現場で患者が不当な扱いを受けている。
 
リリカやサインバルタ線維筋痛症の専門薬として保険適用されたが。効果を感じる人の方が少ない。これらは炎症を抑えるのではなく、神経に直接作用するため、目眩、吐き気、など副作用は多大である。それに加え代謝が落ちるので肥満、心臓肺水腫、目の調節機能低下などもある。更なる研究と新薬の開発が望まれる。
 
かつては客観的判断は難しいとされた痛みの評価も、ペインビジョン*2の普及や脳検査での痛みの診断が進むことにより可能になるであろう。
 
 
 
 
 
⑥ セイフティネットというものが存在していない。
 
指定難病のうちALSなど16疾患は、65歳以下でも介護保険が使え、ヘルパー、デイケア、などが利用でき、電動車椅子もレンタルできたり補助金が出る。医療費も上限付きだが援助されて、またその疾患の研究も進んでいく。
 
特定疾患にならないのなら、せめて福祉サービスというセイフティネットが存在していて欲しい。現在研究途上の未指定難病は全てそうだろうが、二重三重にふるい落とされ、ほとんど見えない存在になっている。介護保険法、難病法、障害者総合支援法、手帳という制度全てから篩い落とされる線維筋痛症はその典型であるが、診療拒否に会う率は突出して多いのでは無いだろうか。 
 
1*診療拒否の問題については
別添資料「線維筋痛症の診療拒否問題」に関するアンケート調査結果を参照のこと
 
*2
「PainVisionを用いた評価をどのように治療につなげているか」
(三木 俊 1 , 阿部 倫明 2,3
1東北大学病院生理検査センター 生理検査部門
2東北大学医学系研究科腎高血圧内分泌科
3東北メディカル・メガバンク機構 地域医療支援部門
2018年5月15日
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200484)
 
 
 

新しい難病法の成立過程、難病の定義

*難病とは

 

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/pdf/06e_3_2.pdf

 

*新しい難病法の成立過程

 

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*難病の辞書的定義と行政的定義(厚生労働省ホームページより抜粋)
「難病」は、医学的に明確に定義された病気の名称ではありません。いわゆる「不治の病」 に対して社会通念として用いられてきた言葉です。そのため、難病であるか否かは、その時代 の医療水準や社会事情によって変化します。
例えば、かつて日本人の生活が貧しかった時代には、赤痢コレラ結核などの伝染病は「不 治の病」でした。その当時は有効な治療法もなく、多くの人命が奪われたという点で、これら の疾病はまぎれもなく難病でした。しかし、その後日本人の生活が豊かになり、公衆衛生の向 上、医学の進歩および保健・医療の充実と共に、これらの伝染病は、治療法が確立され不治の 病ではなくなりました。しかし、治療がむずかしく、慢性の経過をたどる疾病もいまだ存在し、 このような疾病を難病と呼んでいます。
また、昭和 47 年の厚生省(当時)の「難病対策要綱」には、「(1)原因不明、治療方針未確 定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病、(2)経過が慢性にわたり、単に経済的 な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担 の大きい疾病」と定義されています1)2)。

*指定難病認定の条件

難病は、1)発病の機構が明らかでなく、2)治療方法が確立していない、3)希少な疾患であって、4)長期の療養を必要とするもの、という4つの条件を必要としていますが、指定難病にはさらに、5)患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと、6)客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること (難病支援センター資料から抜粋)

 

*指定難病一覧

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html

指定難病は333と大幅に増えたように見えるが、まだ指定されていない難病の数は数千以上と言われている。また医療費補助が受けられる人数は変わっていない。